【わかりやすく解説】特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の詳細や手続き方法
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例ってなに?」
「譲渡損失の損益通算及び繰越控除ってどんなときに利用できるの?」
「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例についてわかりやすく教えてほしい」
こんにちは! 中野・杉並・練馬を中心に、東京で不動産を営んでいるSKD不動産です。
“マイホームを売ったときの5つの特例”の1つである『特定居住用財産の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除』について詳しく解説していきます。
この特例は家を売り損失(赤字)がでた場合に、翌年以降の所得から税金を控除してくれる制度です。
- 住宅ローンが残っているマイホームを売却した場合:特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
- 住宅ローンが残っていない&家の買い換えをする場合:居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
今回はマイホームを売却しても住宅ローンが残った場合に利用できる『特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除』について説明していきます。
この記事を見て適用条件に当てはまれば、何百万もの税金を支払わずにすむ可能性がありますので、ぜひ自分に当てはまるか確認してみてくださいね。
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特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除とは
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除とは、住宅ローンのあるマイホームを、住宅ローンを下回る金額で売却して、赤字(譲渡損失)がでた場合に、損失分に応じて控除(損益通算)できる特例のことです。
かんたんに説明すると、「マイホームの売却しても住宅ローンが返済できずに残っている場合、赤字分を給料所得や他の所得から差し引いていいよ!」という特例なんです。
ただし控除できる損失分には条件もありますので、その点も確認していきましょう。
専門用語をわかりやすく解説
専門用語をわかりやすく説明していきます。
- 譲渡損失とは、不動産の売買で生じた損失(赤字)のこと。
- 損益通算とは、赤字の所得を他の黒字の所得から差し引いて相殺すること。
- 繰越控除とは、その年で相殺できなかった場合に、翌年以降も繰り越し相殺すること。
たとえば、年間給料所得600万のAさんが、5,000万で購入したマイホームを3,000万で売却した場合
上の例でいくと、マイホーム売却は2,000万の損(赤字)です。この2,000万円の赤字を譲渡損失といいます。
また2,000万円の譲渡損失を、600万円の給与所得と差し引いて相殺することを通算損益、初年度で相殺できなかった残りの1,400万円を、次の年に繰り越して相殺することを繰越控除といいます。
通算損益できるのは住宅を売った損失分か住宅ローンの差額のどちらか小さい金額
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例で、通算損益(相殺)できる損失(赤字)額は、『住宅を売った際の損失分』か『住宅ローン残高から売却金を差し引いた金額』のうち、どちらか小さい金額が適用されます。
どういうことですか?
実際に具体例をだして、わかりやすく説明していきますね!
ケース1
年間給料所得600万のAさんが、5,000万のマイホームを4,500万の住宅ローンで購入し、3,000万で売却した場合。売却したタイミングでの住宅ローン残高は4,000万円あるとします。
ケース1の場合、5,000万円のマイホームを3,000万で売却しているため、2,000万円の赤字(譲渡損失)がでています。
また、住宅ローンの残高は4,000万円となり、4,000万円から売却金の3,000万円を引くと1,000万円の損失です。
\ ケース1の場合 /
- 住宅の譲渡損失:2,000万円
- 住宅ローン差額:1,000万円
繰り越しできる金額は『住宅の譲渡損失』と『住宅ローン残高から売却金を差し引いた金額』のどちらか小さい金額が適用されるため、今回は住宅ローン残高から売却金を差し引いた金額1,000万円が、通算損益(相殺)の対象となります。
なるほど、意味がわかりました。
少しややこしいですよね。
ケース2
年間給料所得600万のAさんが、6,000万のマイホームを7,000万の住宅ローンで購入し、4,000万で売却した場合。売却したタイミングでの住宅ローン残高は6,500万円あるとします。
ケース2の場合、6,000万円のマイホームを4,000万で売却しているため、2,000万円の赤字(譲渡損失)。
住宅ローンの残高は6,500万円となり、6,500万円から売却金の4,000万円を引くと2,500万円の損失。
\ ケース2の場合 /
- 住宅の譲渡損失:2,000万円
- 住宅ローン差額:2,500万円
ケース2の場合は、ケース1とは逆にマイホームを売った赤字(譲渡損失)2,000万円のほうが通算損益(相殺)の対象となります。
ケース3
最後に利用ができないケースを紹介します。
年間給料所得600万のAさんが、6,000万のマイホームを3,000万の住宅ローンで購入し、4,000万で売却した場合。売却したタイミングでの住宅ローン残高は1,500万円あるとします。
ケース3の場合は、6,000万円のマイホームを4,000万で売却しているため、2,000万円の赤字(譲渡損失)。
住宅ローンの残高は1,500万円となり、1,500万円から売却金の4,000万円を引くと2,500万円の黒字になります。
この場合
- 住宅の譲渡損失:2,000万円
- 住宅ローン差額:0円
となり、マイホームの売却金で住宅ローンを上回るため、ケース3の場合は今回の特例を利用できません。
なるほど! 家を売った金額で赤字(譲渡損失)がでても、住宅ローンを返済できるから適用できないんですね。
そうなんです。あくまでも赤字(譲渡譲渡)がでて、なおかつ住宅ローンが残っているときに適用できる特例なんです。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を利用したイメージ
特例の計算方法は次のとおりです。
損失 − 黒字所得 = 適用後の所得
さきほどのケース2を計算式に当てはめてみましょう。
▲1,500万円(損失) − 600万(黒字所得) = 0円(▲900万円)
初年度は適用後の所得が0円になりました。ただ通算損益をしても損失(赤字)は900万円残っている状態です。
残りの譲渡損失分は3年間繰り越しが可能ですので、繰越控除をすると次のようになります。
年数 | 損失 | 黒字所得 | 適用後の所得 |
---|---|---|---|
初年度 | ▲1,500万円 | 600万円 | 0円(▲900万円) |
2年目 | ▲900万円 | 600万円 | 0円(▲300万円) |
3年目 | ▲300万円 | 600万円 | 300万円 |
4年目 | 0円 | 600万円 | 600万円 |
上の表のように、譲渡損失で給与所得が相殺され、2年目まで所得が0円になりました。
給与所得が600万なら、住民税と所得税を合わせて年間に50万円ほど納税しているため、今回の特例を利用すると2年間で約100万の節税となりますね。
以上が、譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の利用したイメージです。
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特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用条件
続いては、今回の特例の適用条件をお伝えします。
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、売却するマイホームに細かな適用条件があります。
詳細を確認していきましょう。
売却するマイホームの適用条件
売却するマイホームの適用条件は次のとおりです。
自分が住んでいるマイホームであること
特例を受けるには自分が住んでいるマイホームであることが条件となります。
投資用の不動産や別荘などは適用されませんので注意してください。
建物の所有期間が譲渡年の1月1日時点で5年以上であること
マイホームを売却したときに、建物の所有期間が5年を超えている必要があります。
戸建ての場合、建物と土地ともに5年を超えていないといけません。
たとえば土地の所有期間が10年であったとしても、建物が新しくて5年を超えていない場合、適用外になってしまいます。
あくまで土地と建物ともに5年を超えていることが条件となりますので、問題がないか確認しましょう。
また、特例上の所有期間はマイホーム売却した年の1月1日時点で判断されます。
たとえば、不動産Aを2016年の7月に取得(購入)し、2021年の9月に売却した場合
実際の所有期間は2016年の7月から2021年の9月までの『5年2ヶ月』ですが、特例上では5年を超えていないと判断されます。
なぜなら2021年9月現在ではなく、2021年1月1日時点で所有期間を判断されるからです。
その結果、2021年1月1日時点では4年4ヶ月となるのです。
5年を超えたかどうかは、家を購入してから『お正月を6回過ごしたか』を目安にするとわかりやすいですよ。
マイホームを売る契約凍結日の前日に住宅ローンが残っていること
マイホームを売る契約凍結日の前日までに住宅ローンが残っていることが必要です。
さきほどのケース3のとおり、マイホームを売却した損失分で住宅ローンが返済できるようであれば適用できないからです。
住宅ローンが残っているかどうか判断は、『マイホームを売る契約凍結日の前日』となります。
譲渡(売却)先が家族などの特別な関係でないこと
マイホームの売却先は、家族などの特別な関係性ではいけません。
生活を共にしていない、第三者に売却するようにしてください。
適用除外条件
その他の注意事項として、次の場合、条件を満たしていても適用されませんので注意してください。
売却した年の前年、前々年に3,000万円特別控除などの特例を利用している場合
今回の特例の適用条件を満たしていても、売却した年を含めて前年、前々年に3,000万円特別控除などの特例を利用している場合は適用外になります。
対象となる特例は次のとおりです。
- 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
- 居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除
- 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
- 特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例
たとえば、不動産をAとBの2つを保有していて、Aの不動産を2020年に売って3,000万円特別控除を適用している場合は、2022年にBの不動産を売って譲渡損失がでたとしても今回の特例は利用できません。
所得金額が3,000万円超の場合
所得金額が3,000万円超の場合は、2年目以降の繰越控除が適用されません。
ただし適用の初年度は所得の制限がないため3,000万円を超えていたとしても、損益通算が可能です。
特例適用の初年度は、所得が5000万円だろうと1億円だろうと制限なく赤字分(譲渡損失)から差し引いてくれます。ただ2年目以降も所得金額が3,000万円を超えている場合は、たとえ赤字が残っていても繰越控除が適用がされません。
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特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の手続き方法
今回の特例の手続き方法はどうすればいいんですか?
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例を受けるには、マイホームを売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をすることが必要です。
必要書類を用意して確定申告をしましょう。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の手続きに必要の書類一覧
確定申告の際に必要な書類はこちら。
- 確定申告書
- 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》(特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)【租税特別措置法第41条の5の2用】
- 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】
- 譲渡資産に係る住宅借入金等の残高証明書(譲渡契約締結日の前日のもの)
- 譲渡資産に係る登記事項証明書、売買契約書など
- 譲渡をした時において、住民票に記載されていた住所と譲渡資産の所在地とが異なる場合は、戸籍の附票の写しなど
以上の書類をそろえて、税務署に提出しましょう。
手続きの流れがわからない場合は、税務署に相談をすれば教えてくれます。
繰越控除がある場合、2年目以降も確定申告が必要
赤字分(譲渡損失)が初年度だけで相殺できない場合は、2年目以降も繰越控除を受けられます。
そのためには2年目以降も、損失申告用の確定申告書を税務署に提出する必要があります。
赤字分は初年度以降、3年間繰り越しできるため、繰越控除が続く限り確定申告をしましょう。
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特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除がわからない場合は、SKD不動産におまかせ
今回は『特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除』について説明しました。
\ 譲渡損失の損益通算及び繰越控除のまとめ /
- マイホームの売却しても住宅ローンが返済できずに残っている場合に適用可能
- 最大で4年間繰り越し可能
- 適用には確定申告が必要
内容を理解して利用できれば税金を抑える大変お得な特例となります。
ただし、ほとんどの方がはじめて手続きをするため、適用条件や書類準備など不安があるでしょう。
そんな方は、SKD不動産に気軽に相談してください。
SKD不動産では、不動産の節税方法から国の補助金まで、住宅のプロフェッショナルが無料でサポートいたします。
「適用条件に当てはまるか確認したい」「もっとお得な節税方法を教えてほしい」など、あなたの現在の条件に合わせて無料サポートをいたしますのでご安心ください。
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